お山のなかの静かな草地に 古めかしい塗り壁の家が一軒だけ立ってて 縁側があって 庭には飛び石がいくらか並んで ところどころ 小さな花がのぞいて 庭の周りは大きな針葉樹でしっかり覆って 庭のすみには小さな畑を作って じゃがいもやキャベツやキュウリにすいかも植える にんじんも 毎日玄米たべて 肉は無くて 油揚に豆腐に たまにはお酒 小さな暖炉があって ひと山 家の物だから 薪はいっぱい作って貯めて 冬は暖炉の火であったかなものを飲む 高原なので夏は涼しくて 風鈴をつるして 離れた川でイワナをとって 塩をふったらこんがり焼く そういう家があるといい

いつか冬に 雪深い峠道を夜に走って 予約も無しに温泉宿に泊ったことがあった 部屋があってホッとしていたら 夕飯にイワナの刺身が出てきて 生で大丈夫かと気になりながら食べた あのときのお膳や 部屋のかんじをよく覚えている あの時のいろんなことを