秋の空

秋の空は動物みたいな雲が多い。ライオンに亀に恐竜、誰かがハイヨ～と言ってる雲もある。遠くの山まで並んでて、ゆっくりゆっくり動いてく。ぼうっと眺めているといっしょに流れていくみたい。

昨日の夕方、虹をみた。小さい頃、あの虹の下に行ったらどんなに綺麗だろうと思った。でも近づいたら消えてしまう。見えなくなってもあるのだとはなかなか思えない。

梨にマスカット、キノコ、秋のおいしいものが出てきた。ヒンヤリの風 虫の声 気が休まる。

行き詰まったとき、急にどうすればいいかもわからず、空走するようになる。そんなときが一番苦しい。何かに行きあたるはず 何か見えてくるだろう そう思うしかない。足を前に。歩く。

わからないもの、経験のないことが迫るとき、不安でたまらなくなる。でもそうやって逃げて、大事なものを失くしてしまい、それはもうやってこない。

夜、虫の声がチンチロと。弱々しく控えめに、とぎれとぎれに。思わずじっと聞いている。めっきり寒くなった。