古沢さんは渡欧して フランスやスペインで たくさん絵を描いていながらも 少しおかしくなってしまった時がある 親しく尋ねてくる踊り子も 同じホテルの日本人たちと出かけたりしていても どこか孤独で耐えられなくなっていく 一人進まない絵を前に 部屋に居られなくて 外を歩いても落ちつける場所もなく 道の端から端へいったりきたり 職質されたりして 異郷に憧れながら 気がつかずに毒気にもおかされていて けれどしまいにケロりとして たくさん描いた絵を持って帰国する 自分には行けない場所 出来ないことをやっていくこの人に 付いていきたくて また本を読んでしまう