ここには居られない どこにも居られる場所がない だから求めたい 今の自分からは あまりに遠くても もうそこしかない 朝に夕に読んでいる 読みながら探している

夜に空の上のほうから たくさんの犬の声がすると思ったら 白鳥だった もう渡ってくる季節になったのだ

あのとき望んでいたこと 自分の力ではどうにもならなかったこと 今はただ見ているしかない

山が少しずつ秋らしくなってきた 道端のススキが白くなり 木の葉もだんだん色づいて 栗の実があちこち落ちている 懐かしい11月がもうすぐ来る

箸袋に書いてくれた文字をみていた いつのまに こんなに時間が経ったのか

夜の外で 急に風が吹き荒れる音がする さっきは雨がどうっと降っていた ようやく寒く静かな季節 さみしく しんと落ち着いてくる

地に足がつかないまま もう数年たってしまった だがなかなか思いきってやめることが出来ない

岡本さんの本は 心から出てくる言葉をそのままというかんじで 今は読むと疲れてしまう いつか読みたいときもあるのだろうか 前に 本には手に取られる時があるのだと言っていたのを覚えている 棚に並んだ本でなく電子書籍だと思うと 少し味気なくなるけれど

古沢さんの自伝には 時々 岡本さんが出てくる よく絵の話をしていて 戦争中は大陸でも近くの部隊にいて 何度か会っている 戦地にいても当然 絵の話をする これからの絵は というかんじ 古沢さんの大陸の風景画は 遠くを行く船や 人影や 川を照らす日の光 雲…

ようやく秋になろうとしている 雷が空をつんざくと季節がかわった証拠 さみしい 冷たい 枯れ葉の秋がくる

いよいよ行き詰まり また退職を考えている いつも答えがなくて 自分の考えなどでは着いていけなくなっている 時代小説には 飾りや根付けなど 黙々と何か作る人がたまに出てくる 細々とでも そんなことが出来たらいい あとはそれに付き合ってくれる人が一人い…

流行りやまいにかかり 熱にあえいだ 病気なんか縁がないはずだったが おかげで古沢さんの本を読み 大陸で餓鬼になる夢をみた

やっと出勤したものの仕事がたまっていやになる 秋ばかり待ち遠しい

朝 めずらしく余裕があって ゆったり過ごしている 秋らしく少し涼しい 鳥が気持ちよさそうに啼いている

川の土手を歩いてくるのを見つけて 自分はそんな場所で散髪をされていたせいで動けなくて 後できっと話そうと言ったら うなづいてくれて と思うと夢はまた別のに変わって 今度は青や緑の入り交じった半透明の波の上にいて 大渦がぐるぐる渦巻くなかで揉まれ…

ふと雲の間に 銀色がかった白い丸い月が出ていて 古びた外国のメダルか何かのようで妙にほしくなって しばらく眺めていたら 黄色くなってきた

夜 コオロギが眠たく静かに鳴くようになった チョロチョロ水でも撒くような やっと秋が近い

外に出ると 熱い空気のおびにからまれてるような気がする 熱いおびを伝うように歩いていく

朝早くに 部屋の隅から虫の声がした一匹だけ チ チ チ チ チ と静かに 遠慮がちに 少しは秋めいてきたのだろうか

仕事の後 何となく気が向いたので 今日墓参りに行った いつもなら最後の日の夕方なのに 自分の骨も近いうちここに入るのだろう でも骨は自分ではない いつも眺めてる空の雲に 自分はのる あの舳先のところから 広い夕方の海や地表をみる 飽きたらもうここに …

また休みも終わる この前 道路沿いに白いススキの穂をみつけた 夜の虫の声が 少し湿っぽく感じる 夏の盛りが だんだんに終わる 静かな秋が待ち遠しい

以前もらった手紙を読んでいた キーホルダーと一緒に送ってくれた 読んでいると ことばが消え入りそうに感じる 雪のように

狭い収納を整理する 捨てられないものがたくさんある 自分に残っているのは そうした記憶につながるものだけだから

やっと8月になり そのうち盆が終わるだろう そしたら9月 いつまでも暑いかもしれないけど 秋のはじまり 急に涼しくなったら10月に入っているのだ 今から秋ばかり思っている

祭りの新聞記事を見ていたら 座って踊りをみている後姿が小さく写っていた 前と変わらない髪形 肩のかんじ 自分には間違えようもない 服の色にも何となく覚えがある ただ眼鏡をしているようなのが どうしたかなと思った すごく暑かったけど どうして過ごして…

今年初めてコオロギの声をきいた なんだかまだ不機嫌に短い気がする 秋になるとしみじみゆったり鳴くものだった 秋はまだ遠い

もう何もかも十分だから もう早く店じまいにしたい 早く

夏 向こうで歩いて 日差しがひりひりするほど暑かったのも 今は懐かしい

先生が書いた昔話を久しぶりに読んだ 懐かしい先生の言葉 昔教わったときの先生の歳を 自分はとうに越えてしまったなぁと思う

この世こそ地獄 わかってるはずなのに なぜいつのまにか こんな場所に何かを期待するのか なぜ何十年も起きてたこと 心を殺されたこと 何度も際限なくやられてきたのを忘れて また期待するのか 自分のこころがにくたらしい